ジャレド・ダイアモンド「危機と人類」

ジャレド・ダイアモンドの「危機と人類」を読んでいる。

学際的で特徴的な学問領域を修めた人らしい部分が随所にあるが

この本で使っている手法には多少異論もあるようだ。

にもかかわらず、フィンランドの対ソ戦、冬戦争に関するくだりなどは

現在進行中のウクライナ紛争と対比すると見えてくることがある。

軍事力の差を考えると無謀とも言える戦いなのだが

大国と長い国境線を接する小国が独立を守るためのぎりぎりの戦い、

勝つためではなく、占領するには面倒な相手だと思わせる、というための戦争

というものについて。

そして事後の交渉、それに続く、外交上の周到な選択

莫大な賠償金を支払うために、農業と林業中心だった産業構造を

抜本的に変えていき、経済発展も遂げることになったその後の姿まで。

 

 

この本自体が、いくつかの国の危機に見舞われたある時代を分析している本だが

不確実さを増している今の時代に、ヒントになる部分があると思われる。

今までの常識が役に立たない、未知の領域に踏み出した、としても

過去に学ぶことは、まだできる、というように。