「言語の本質」今井むつみ・秋田喜美 を読む

「言語の本質」は話題になっていて気にはなっていた。

乳幼児がどうやって日本語を獲得するか、

ほとんど無意識に使いこなすレベルまで到達するのか、という考察から始まり、

タイトル通り言語の本質に迫る内容で興味深く読んだ。

 

 

とりわけ、記号接地問題との兼ね合いで、今流行のチャットGPTなど生成AIを

論じた部分があり、その部分のインタビューがフォーカスされるていたのも

興味を惹かれる理由のひとつでもある。

 

 

著者の見解は明確で

知識から知識へ(記号接地せずに)漂流しながらも生成AIは拡大化し続けるが

人間ではそうはいかない、ということだろうか。

(出版社のインタビューでは記号接地しない以上、生成AIは

「中国人の部屋」の問題を解消していないと述べているが)

人間は言語の獲得において、その意味を記号接地する部分を土台として

爆発的に、抽象的な概念を含む言語の体系を獲得していく、という。

その際には、多くの推論と間違い、その修正の課程を必要とするのだが・・。

 

 

人間の知性とAIの知性は異なる、というのは

「大規模言語モデルは新たな知能か」でも論じられていたことだが

この著者と、見解は異なっている。

 

 

いずれにせよ、これからの1年か2年か

その期間はわからないが

ある程度の、それぞれの特性のメカニズムは整理されていくように思える。

身体を持たない、故に記号接地をしないAIの知性。

その知性と人間の知性との棲み分け、あるいは分業や協働の仕方について。

 

 

私もあれこれ考えてみようと思っている。