しかも「中村仲蔵」と聞いて、ちょっと尺が足りないのじゃないかしら
と思いつつ見る。
この番組は、最初にちょっとした本人の解説が入るが
あとは高座をそのまま見せる。
すべてひっくるめて30分。
大抵はちょっとした作品解説や教わった当時のエピソード、
誰から習ったか(これを聞くと詳しい人はどういう型かがわかるようだ)
などを話してから本編に入る。
おのずとマクラを入れて20分ちょっとの、あまり重くもない話をする人が多い。
白酒さんなどは、終わったあとにももう一度話をする、という使い方をしていたが・・
花緑さんは、以前、この枠の中で「文七元結」という大ネタをやったこともある。
さて、今回は、と期待を込めて拝見。
聞き始めてすぐに引き込まれる。
テンポがいい。
かといってはしょりすぎてもおらず
溜めるところはたっぷり溜め、ちょっとしたこの人らしい遊びもはいる。
ああ、とてもいいなあ、と思う。
前回の「文七元結」の時よりも、よくよく練られている。
そう思ってみるとプリンス然としていた見かけも、
実際の歳よりも少し落ち着いてきて見え、なにやら時折、枯淡の風情もある。
声には力がこもっており、かつ力みもない。所作もすっかり落ち着いている。
おやおや、いつの間に。
話は勢いもありつつ、しっかりとほろりとする部分もありで
大変よいできだった。
花緑さん、いい味がでてきている。
思う存分、自在に話が出来る歳になってきた、ということか。
考えてみたら、早くからこの世界に入ったかなりのベテランではある。
さて、また一人、この先が楽しみな落語家さんが増えた。
今度は生の高座を見に行ってみようと思っている。