2021-01-01から1年間の記事一覧

与那覇潤『平成史』を読む

大冊である。 平成の30年間を振り返る通史なのだが。 終盤に近づくにつれメランコリックになっていき とはいえ、(著者の病気その他の体験を通して)最終的には 半ば開き直入りのような諦念というのか希望というのか。 これだけでは補助線が足りない気がして…

扇遊さんの会

友人の家人の主催する落語会へゆく。 何故だか感染者が減り、そろそろ旅行も飲み会も解禁かという世の中に また変異株が出てきて、少々の冷や水。 遊京:粗忽の使者 扇遊:一目あがり 扇遊:お見立て 仲入り 扇遊:芝浜 遊京さん、前回聞いたときより口舌が…

「欲望の資本主義」を読む

NHKで放映された同名の番組のこれは書籍化になる。 番組も見ていたはずだが、最初の方は見逃していたかもしれない。 いろいろと示唆に富んでいるのだが、 とりわけ、経済学者のダニエル・コーエンがいう 「全員が芸術家のように生きねばならない社会の到来」…

「欲望の資本主義」を読む

NHKで放映された同名の番組のこれは書籍化になる。 番組も見ていたはずだが、最初の方は見逃していたかもしれない。 いろいろと示唆に富んでいるのだが、 とりわけ、経済学者のダニエル・コーエンがいう 「全員が芸術家のように生きねばならない社会の到来」…

高瀬舟のことなど

今月号の文芸春秋にロバートキャンベルさんと有働由美子さんの対談が載っている。 井上陽水と村上春樹の文体のことなどを面白く読む。 キャンベルさんの、井上陽水の歌詞の英訳は一頃話題になったらしい。 時制、人称、何を何がといったかかりが曖昧で、それ…

都内の定席(寄席)にでない一門のこと

上方はしばらく定席がなかったこともあって 上方落語協会と米朝一門会にはあまり違いはないのかもしれないが。 東京では、定席に出ない一門が2つあり ひとつは五代目円楽一門会で、もうひとつは落語立川流となる。 もともとはここに所属する落語家の多くは…

立川志の輔 独演会

9月に取れていた志の輔さんの会が 緊急事態宣言が延びて延期になり、やむなく払い戻しをする。 そのかわりというわけでもないが、宣言が開ければ追加発売がある と聞いた会場の売出を待つ。 無事チケットが取れて、そういうわけでちょっとした敗者復活戦の…

立川志の輔 独演会

9月に取れていた志の輔さんの会が 緊急事態宣言が延びて延期になり、やむなく払い戻しをする。 そのかわりというわけでもないが、宣言が開ければ追加発売がある と聞いた会場の売出を待つ。 無事チケットが取れて、そういうわけでちょっとした敗者復活戦の…

庵野秀明展

小三治さんの訃報を聞き、しばらく茫然とする。 ついこの間の高座で拝見したばかりで、もしやあれが最後の高座だったのかと。 訃報の続報を読むと、直前まで体調はよかった様子。 全くの急死だったようでますます惜しまれる。あらためて合掌。 さて、国立新…

吉例柳家一門会

お目当ては小三治さん。 NHKのドキュメンタリーで拝見すると 80歳をこえて体力的にはなかなか厳しそうではあるが。 小はぜ:狸鯉 三之助:替り目 小里ん:五人廻し 仲入り 小三治:猫の皿 今回はずいぶんと長かった緊急事態宣言が開けて最初の週末。 酒…

吉例柳家一門会

お目当ては小三治さん。 NHKのドキュメンタリーで拝見すると 80歳をこえて体力的にはなかなか厳しそうではあるが。 小はぜ:狸鯉 三之助:替り目 小里ん:五人廻し 仲入り 小三治:猫の皿 今回はずいぶんと長かった緊急事態宣言が開けて最初の週末。 酒…

秋雨前線

カレンダーが1か月先になったような陽気。 夜、寝心地がいいのは助かるが、暑さがぶり返す時はまた辛い、と 先を読んで憂鬱になる。 落語会に出かける日にワクチン接種が重なり 予約を取りなおすかどうかで悩んだ末、当日内の時間変更なら手続きがいらない …

夜廻り猫

「夜廻り猫」の6巻を読む。 この漫画がはじめは発表するつもりもないまま描かれて (作者の息子さんの入院の気晴らしにとはじまった) やがてツイッターに投稿が始まり 評判になって出版までこぎつけたのだという。 台湾でも良書10選に入り、ブックフェアに…

落語会をいくつか

7月から落語会に何度か足を運ぶ。 日に日に感染者数が悪化して、夏休みどころではないこの頃。 旅行をあきらめておとなしくしているがせめて落語会くらいは・・ まずは扇遊さんの会。 知り合いが席亭をやっており、見学かねて伺う。 遊京:蛇含草 扇遊:家見…

秋の気配と坂口恭平「お金の学校」

オリンピックが終わり、パラリンピックがもうじき始まる。 観客をいれるどころではなく、緊急事態宣言も早々に延長となる。 ワクチン接種が進めば秋には需要が爆発するという予測を 春先に聞いたときには楽観的過ぎると思ったものだが やはり一筋縄ではいか…

志の輔さんの「大河への道」のことで

志の輔さんの「大河への道」が難渋したのは 談志さんの名言でもある「落語とは(人間の)業の肯定である」 という言葉に体現されている。 落語の主人公というのが、ちょっとずるをしたり 安易に人まねをして失敗したり、というのがお約束のキャラクターで。 …

志の輔さんの「大河への道」のことで

志の輔さんの「大河への道」が難渋したのは 談志さんの名言でもある「落語とは(人間の)業の肯定である」 という言葉に体現されている。 落語の主人公というのが、ちょっとずるをしたり 安易に人まねをして失敗したり、というのがお約束のキャラクターで あ…

立川志の輔一門会

府中にて、志の輔さんの一門会。 会場にはいってすぐ、目につく場所に 「会場は発売日の都合で(3月末に解除された緊急事態宣言後に発売) 一席空けになっていないが、ご了承を」と注意書きがある。 この日は一門会だが、昨年の4月に真打昇進をしたものの …

落語教育委員会

落語会の頭に、演者3人のちょっとしたコントがある会。 それを楽しみに、お客さんは開演めがけて急いで来る、とか。 この日も、高座はそのままに3者でのやりとりが。 ネタ帳にはどう書かれるのかと思ったが 新型コロナの感染予防でネタ帳は後日主催者のホ…

落語教育委員会

落語会の頭に、演者3人のちょっとしたコントがある会。 それを楽しみに、お客さんは開演めがけて急いで来る、とか。 この日も、高座はそのままに3者でのやりとりが。 ネタ帳にはどう書かれるのかと思ったが 新型コロナの感染予防でネタ帳は後日主催者のホ…

新作落語「大河への道」

志の輔さんの「大河への道」は伊能忠敬の話・・ではなく 伊能忠敬を大河ドラマにしようとして悪戦苦闘する脚本家の話である。 それも、そのドラマ自体は伊能亡きあと、その死を隠して伊能の地図を完成させ 幕府に献上した伊能の師の息子、高橋景保が主人公に…

猪瀬直樹と落合陽一の

2020東京オリンピック後に日本はどこに向かって進むのか というダイアローグをまとめた本を読んでいる。 今の状況を考えると予言とは違うのだが響くものがある。 オリンピックは延期され、その後も原因となった感染症はおさまらず 開催の是非や中止の意見ま…

石狩データセンター

3.11を前にして増えてきた災害関連の新聞記事の中に 石狩データセンターの名前を見つける。 災害の多い日本では、データの保管やクラウドサービスの確保は 企業の事業継続にとって死活問題でもある。たしかそういった文脈で。 その名前を見て、もうずい…

紀伊國屋ホールにて

コロナがおさまらず。 影響は2024年まで続くという報告を半年以上前に見た時は そこまでは、と思ったものだったが。 首都圏に2度目の緊急事態宣言が出るか出ないかという頃に 既存の公演はそのままやってよいという国の方針のもと 払戻しもなにもなく公…

公益資本主義

原丈人の「公益資本主義」という本を読んでいた。 すでに限界が露呈されている、といわれている今の資本主義は 金融資本主義または株主資本主義の行き過ぎた形である、という。 それに比べて、 いわゆる日本的な会社経営は従業員や関与者(顧客や取引先)な…