関内寄席ネクスト

今や落語評論のほうで有名になった広瀬和生氏

(本業は洋楽専門誌の編集長)が選ぶ若手の競演、

関内寄席ネクストの第2回。

関内ホールが改修中で使えず2回目からは外会場。

今回は吉野町市民プラザにて開催。


チケットの電話受付の人は売り切れないから当日券で大丈夫

といってはいたが、念のため購入したところ会場も小さいせいか完売とのこと。

曇天でちらちらと白いものが舞う底冷えのする日で

完全防寒で出かける。


立川吉笑:くじ悲喜(新作)

立川こはる三方一両損

中入り

柳亭小痴楽明烏

三遊亭粋歌プロフェッショナル(新作)


出の浅さは関係なく4人の独演会を集めたようなもの

といいながら吉笑さんの「くじ悲喜」。

誰が主人公なのか想像しながら・・・とマクラでいいつつ

なんと紙の三角くじ同士が語る人生(くじ生?)という奇想天外な噺。

立川流の鬼才、というのがどうやら関内ホールのつけたキャッチだそうだが。

完全に発想から入るタイプだが、笑いもあって聞きやすい。


ついでこはるさん。

自分だけ、関内ホールでの評は「談春の弟子」

これじゃどんな落語家かわからない、とふてて見せるが

正統派の啖呵が見せ場のいなせな三方一両損

細くて小さな体で大音声の熱演。

きれいで現代的な古典、喧嘩っ早い江戸っ子の啖呵が見せ場。

女流っぽくなく、骨太で。って、やっぱり談春の弟子、でいいんじゃないかと。

NHKの演芸大賞の決勝戦の時は、並みいる先輩がたと比べて

きれいなだけじゃなあ、と思ったのだけれど

このごろは笑わせたり、はじけたり、ぐだぐだだったり

意識して振れ幅を大きく演じている様子。


中入り後、小痴楽さん。

お腹を壊して実家の母親に頼ったが邪険にされた話しや

故柳亭痴楽(実)の昔の落語家らしいぐだぐだなエピソード

素敵でそれらしい。

明烏も、少し間違えるくらいでちゃんと覚えてますよ、といいつつ

まずまず達者で今回は楽しい。


最後は粋歌さん。

年齢もあってかそれまでの3人のような前のめりのテンションはなし。

が、落ち着いて枕を振り、得意のOLネタというよりは人事ネタともいうべき新作。

小生意気で頭でっかちな新人が工場のライン作業の研修を嫌々受け

ベテランのおばさんたちの小言や仕草から推論しトライ&エラーで

QCサークル張りの創意工夫をしてスピードをあげてゆき

製造ラインのベスト記録を出すというもの。

番組のBGMまで使い、ほろりとさせるエピソードも要所に入り

うっかりすると感動しそうな構成と展開はさすが。


いろいろな二つ目に会えると嬉しいこと、と思うのだが

諸事情で次回以降は来るのに苦労しそうな予感が。

とはいえ、先のことを憂いても仕方ない。

落語国の住人に倣って、今この時を愛おしむ。

気のせいか、帰り道は寒さも緩んで。

やっぱり落語は、よいよい。