風に吹かれてハイランド
ヴァーチャルだか、妄想だかの旅、ということで。
ハイランドのインに宿泊した折のこと。
街は、遠距離バスでロンドンから2時間くらいの片田舎だった
と記憶している。
古いインで、15世紀だかなんだかの有名な古民家。
でもペンションプラン(年金生活者向けの3食付きの安いプラン)があるような
長期滞在者も受け入れているようなところ。
日本でいえば古い温泉の湯治場、いやそこまではいかないにしても。
宿のフロントで街の地図をくれといったら
目の前の道を行って、辻のところを曲がってもう1本
数軒のお店のある路があってそれでおしまいの街だから、
といわれるような小さな町で。
確かに、これといっていくようなところもなくて。
見かけたころ児童館のような図書館のようなところで
ハーイとでもいって中に入り、時間を潰せればよかったのだろうが。
なんとなく遠慮して宿に帰ると
きれいに化粧してネックレスをつけたワンピース姿の老婦人が
「新しいソファよね、これって」と
午前中のうちにロビーに運びこまれた真新しいソファに座ってはしゃいでいる。
のんびりと何もしない休日を楽しめるほど歳をとっていなかったから
いろいろなことにまだまだ不慣れで。
その老婦人の若いころの話を聞こうという気も起きなかったのが
今からすればなんだか惜しまれる。
帰りのバスは、平気で1時間くらい遅れるようなローカル線。
1日に1本しかロンドン行のバスはなく
朝日の中でただただ不安でバス停で凍えていた。
風に吹かれて。
ハイランド。