夏の空、旅の空
気ままな休日。まだ暑さは残るがひそかに晩夏の気配。
体調がいまひとつなので、掟破りだがスパークリングの白に氷をいれて
ちょこちょことした前菜、バケット、チーズ。
氷が解けて少し薄くなったところで。
ああ、イタリアいきたいなあ。北の方。
日の長い夏、夕方から、テラス席でアペリティフと前菜で、
なんとなくまったりとする、それがお約束。たぶん地元のいきつけの店。
いけば見知った顔がいて、なんとなく一人でいても会話にはこまらない。
前菜は、さほどたいしたものはないがお代わりは自由。
カンパリか、名前は知らないがよくみかけるオレンジのリキュール、
カチワリ氷をいれて、薄くなっても気にせずに。
氷が入るのは、チェイサー代わり。
ちょうどよく身体から熱気が薄れて、気持ちも仕事から切り変わり。
かわりにアルコールの酔いがほどよく回ったら、そろそろシャワーを浴びに
家に帰る。
新しい生活様式だか何だか知らないが、旅に出られないのが
(ここ数年、家庭の事情で遠出もできていなかったのはそれとして)
本当に辛い。
10数年前に、都内の地下鉄に貼りだされていた黒い犬のモノクロのポスター。
「おまえには旅が足りない」
憂鬱そうな細身の黒い大型犬、あのワンコの気分。
風に吹かれて、楽しいことばかりでもない長い旅を終えて
何かが浄化されたような気分になって、また日常に戻り
仕事をやるか、そう思えるような。
旅がしたい。