粋歌サロン

粋歌さんの会。

私が聞くのは2回目だが、この横浜での会は3回目の様子。


最初は古典にしています、ということで「たらちね」。

2席目はネタだしの新作「おじい(さん)専(門)」という若い女子に

誘われてでかけた合コンの話。

3席目はこの会で1席ずつかけることにしているという

白鳥さんの「落語の仮面シリーズ」の第3弾。

今日初めてこの会にきた人がいる、とのことで元ネタのガラスの仮面から

そのパロディでもある「落語の仮面」シリーズの説明までを

コンパクトに。


粋歌;たらちね

粋歌:おじいせん(新作)

中入り

粋歌:落語の仮面3


何をどうやっても、それなりに落ち着いているのは

年の功なのか、もともとのキャラなのか、社会人経験のなせる技か。

笑わせどころでしっかり笑わせるのはいつもながら安定しており

さすが、と思える。


年に2回ほどの若手の会が、ここにぎわい座でも

こはるさんの他にいくつかあって。

その出世頭は一之輔さんだったのだけれど。

しばらくまた、若手の会を聞いて見よう思った次第。

公演中の急病人

談春さんの独演会で新宿文化。

かなり以前に、モダンダンスだったか現代ダンスだかの公演を見にいって以来。


新宿駅からこんなに遠かったかな、と思いながら。開口一番の代わりに、自ら足慣らしのように変り目。

 

 

談春:変り目

談春:鼠穴

仲入り

談春:芝浜


開演前15分くらいから、早目にお席におつきください

という呼びこみが多い。

その割に、1ベルは定刻で、6分ほど押して始まる。

変り目を終えるころにはパラパラとした遅れ客もほぼ収まり

定刻の15分後から鼠穴が始まる。


お国言葉が、感情が高ぶるシーンで標準語に戻る。

むしろ感情が高ぶった時こそお国言葉が出るもので

そこが少々気になるなあ、と思っていたら

後半の竹次郎が兄に借金を断られて・・というシーンの最中に

長い悲鳴が2階席前方からあがり、人があわただしく外に出ていく。


興奮した人が妙な悲鳴を上げたのか、お客さん同士のトラブルか、

いずれにせよ不穏な雰囲気の中、係員がかけより何かしゃべる気配がする。

そのうちに除細動装置をもって駆け寄るスタッフがおり

またその除細動器のアナウンスが聞こえ、担架を持ち近づく人がおり

騒然としているが1階席では誰も気が付いていない様子。

客電が上がり中止になるかと思っていたが、そのままスタッフの話声が続き

やがて病人らしき人が場外へ出た模様。

この間、賞味5分かそこらだったのか、とても長く感じ

当然高座には集中できない。


娘を吉原に売った金を盗まれて首を吊るあたりで

ようやく片付いて高座に意識が戻る。

たっぷりと1時間。そこで仲入り。


休憩時にスタッフに聞くと急病人とのこと。

2階席ロビーからは救急車が到着したところが見える。


仲入り後、何か説明があるかと思ったが、特にないまま。

後半は芝浜。

芝の浜で顔を洗いタバコをふかしていると財布を拾う

というシーンはカットして、時間を間違えて起しちゃった

どじをしてしまった、と嘆く女将さんの元に亭主が帰ってくる

シーンにつながる。

テンポは悪くないし切るところは切っているのだけれど。

どことなく冗長な印象。


今年頑張ったからといってそれに満足せず来年はまた別のことを

といった内容を登場人物が語っており、自身の来年の気構えを

言っているようにも聞こえる。


噺が無事落ちた後で。緞帳を下げずにひとしきり。

自分の噺の登場人物はみんな中二病のようなもので

この芝浜の女将さんも、魚勝がこんな性格なのでこんな女になって

本当は普通の女だったはずなんだけど、と笑わせる。

武道館での落語とコンサートの会の話やら、

小さめの会場(サザンシアターや、コクーン)での落語会は

そこに見合ったものをやるという話などをして

年の瀬にはちょっと早いですが、と三本締め。


来年はチケットが取れるかしらん。

またチケットのとれた時に。再見。

東洋文庫と伊能忠敬  「一身二生」

以前から行ってみたかった東洋文庫に初来訪。


HPに載っている素敵な書棚の並ぶ図書室の風景は
この文庫のもととなるコレクションの一部ということらしい。
なかなかに壮観な眺めである。


また今回の展示は伊能忠敬にも関係する地図関係のもので
ちょうど伊能忠敬の評伝風の小説「一身二生」を読んでいたため
興味深く堪能した。
この小説は、サラリーマンとしてそれなりの人生を送った後
定年退職後に再度好きな小説の世界に足を踏み入れた作者のもの。


伊能忠敬も、地方の豪商の家に婿入りして家業を再興し大きな成功を収めるも
隠居を願い出てから幼少から好きだった天文学の道に戻る。
年下の師に疎んじられながらも、師の研究を手助けするため
江戸から蝦夷地までの測量をはじめて、やがてはその実務家としての才を発揮。
最後には科学的な測量に基づく正確極まりない日本地図を作成するため、
何度も過酷な測量の旅をチームを率いて成功させた人物。


人生100年時代にこそ見習いたい生き方、一身で2つの人生
ということなのだろうが。


若くして好きな道に進み、大成するかどうかどころか
食べていけるかどうかを思い悩む生き方もあろうが
様々な事情でこれこそをと思い定めた道を断念して
家のため人のために尽くしたあとで、自分の残りの寿命を切なく思いながら
あきらめきれずに好きだった道に戻る、その人生にも、ドラマというものは
あるはずで。


志の輔さんが、伊能忠敬の落語を創作しようと悪戦苦闘し
どうしてもうまくいかず、というのは地方の家を再興した立志伝中の人物は
人の弱い心や情けない人生に寄り添う落語にはなかなかしずらい
といっていたのだが、
(作っては壊すうちに、伊能ではなくその師の息子の話になってしまう、とのこと)、私にはどう考えても不思議に思える。


年下の学究肌の師に年齢や、理論に弱いことから軽んじられ疎んじられて
生じる軋轢。
先行きの短さから名を成そうとする焦り、
身分や年齢から、地方の金持ち隠居の道楽としか思われない情けなさ。
3番目の内縁の妻であり博識の学者でもある有能な助手の女性に、
学問への同じ思いから最後には師匠のもとに去られてしまうところにしても。
それは忸怩たる思いも、思うようにいかぬ情けなさや焦りも
若い人に劣らず、否、もっと激しく感じただろう物を。


若いうちから好きな道に舵を切った人には、逆にわからないのかしら。


そんなことを感じながら。


東洋文庫をあとにする。

談志祭り

談志祭りの会場へ、少々遅れて到着。

会場内にははいれるが、一席終わるまで後方で待機を、と案内される。

まだ1席目、小談志さん。

まだちょっと、というところ。緊張していたのかな。


談志:新聞記事

志遊:片棒

生志:たいこ腹

談春三方一両損

中入り

談志:(テープ、1970年代、漫談

志の輔:猿後家

里う馬:鼠穴


志遊さん、片棒。ここからは落ち着いて聞ける。

生志さんは相変わらずマクラで毒を吐いており

ちょっとしたネタにひっかけて、このあと(高座に)あがる

兄弟子が米には詳しい、と前ふりを。

談春さん、棚田の薀蓄を披露してから、ドラマでいい人役をやっていると

なんだか悪口を言われて、少々怒っているので怒る噺を、と

大工左官の啖呵が威勢のいい、三方一両損

最近は威勢のいい啖呵があまり聞けていなかったが、

さて、息が続かないわけではなさそうで。

若いころのように、全面飛ばす、というより

ところどころで軽く息を抜くメリハリがあり、その余裕が

高座の数をかなりこなした、という雰囲気になり悪くない。


中入り後、談志さんの大きな写真が高座にでて

漫談のテープがかなり長くかかるが、テープで笑いが起きる。

私の後方から「このあと(高座に)上がるのはやりにくいな」とのつぶやき。

案の定出囃子がなって志の輔さん。

自分でもちらっとやりにくいといってから、最近のマクラでおなじみの

海外での落語会の話へ。爆笑で締めて猿後家。


ここで2時間半を経過していたせいか(とはいえ、7時半過ぎか)

目当てが終わったからか、席を立つ人が20人か30人か。

かなり目立つ数だった。(1階席後方のだったせいかよく見える)

こういう途中退席は気にしないものなのか・・・

トリは立場からいって里う馬さんだが(立川流の新代表)

人気や実力などでは・・・ということでちょっと露骨にも見える。

何かの抗議、というほどのこともあるまいが、気になるところではある。


談志さんとともに回った地方などで(師匠のこの噺を)よく聞いていて

やってみろといわれた噺で、といいながら。

立川流お家芸的な鼠穴。

さすがの風格はあるが、多少滑舌が気にはなる。

落ちて、8時を少し回る。

どこかで少しふらつきたいかな、と思うものの

連れもなく、家路を急ぐ。

消費を否定した流通グループのトップによせて

日経ビジネスオンラインに連載されている

人間・堤清二を、ゆかりのある識者が語る評伝が読みごたえがある。


西武百貨店パルコリブロといった、とんがったグループを率いた

西武グループの総帥で、詩人文学者としての顔をもつ。

バブル崩壊後の西武グループの崩壊とその後の精算で

私財100億を差し出し、表舞台から去った人物


経営者としては超一流ではなかったかもしれないが

これほど語られる経営者は少ない、ともいわれながら

この人物の横顔が多角的に語られる。


その中で、流通グループのトップでありながら

「消費を否定する」思想をもっており

30年前に現在を予見するようなことをいっていた

というくだりにはぞくぞくする。


あらためて、このインタビューに登場した人物

最近の著作などを読んでみる。

消費の先にあるもの。


うっすらと90年代以降に感じ続けてきて、震災以降強固になり

ここにいたる景気回復でまた少し薄れたように感じたもの。

その漠然としたと想いに言葉を与えるために。

立川志の輔独演会

志の輔さん続きで。


改装した横浜のホールで独演会。

もぎりが少ないのか客入れに長蛇の列。


志の麿:寄合い酒

志の輔バールのようなもの(新作)

中入り

伊藤多喜男:民謡

志の輔:新・八五郎出世


志の麿さんは、ここのところ志の輔さんの独演会の前座がかぶり

その度に狸の札だったが、今回は話にちなんだ枕を振りつつ寄合い酒。

志の輔さんの最初の一席のマクラは海外の日本人会での10周年記念の話。

以前も聞いた話だが、聞くたびに再編集され聞きやすくなっている。

ははあ、こうやってお客さんの反応でどんどん話が育つのか、などと。

 

 

続けてバールのようなものへ。

志の輔さんの落語の中では定番ですでに古典の域という

こはるさんの談だったが、さて。

中入り後はバンドで民謡を歌う伊藤多喜男さん。

今回は予算の関係か尺八のみの伴奏で迫力の歌声を聞かせる。


 

トリは志の輔さんの新八五郎出世。

笑わせてホロリとさせて、上質の映画か舞台のような充実感。


台風でJRが計画運休を告げる中、きっちりと予定時間で納め

最後には改装後のホールのお祝いに3本締め。

ずいぶんと行き届いたことで。

世界を変えた書物展

会期終了までわずか、ということで

冷たい雨の降る平日に、これだけを目当てに出かける。


美術館での巡回展だが、もともとは金沢工業大学のコレクションをもとにしており

さすがに開架式図書の棚に陳列はされていないだろうが

図書館の蔵書由来、ということなのか、豊富なコレクションだが

無料の展示、というのもそれらしい。


展示企画の考え方も、そうかこの手があったか

と思うようなもので、すべてコレクション「工学の曙文庫」から由来する。

そして展示方法もなかなか素敵である。

天井まで並ぶ薄暗い書棚にぎっしりと古い学術書が並ぶさまは

知の殿堂たる重厚な歴史ある図書館を思わせ、

このまま迷宮に迷いこみそうで幻惑される。

欧米にある、古書稀覯本のそろった歴史ある図書館といったところか。

ストラホフ修道院図書室というよりは、もう少し簡素なあたりも

工学の本が、さすがに学術書だったり報告書だったりすることから

本の装丁同様、質素でちょうど見合っているということだろう。


広島原爆投下後の米国調査団による報告書や

スペースシャトルチャレンジャーの事故報告書などもあり

光ばかりではない科学技術の発展をたどることができる。


それぞれの発見や思想を3次元で表す系統図や

1400年代からの図書の発行数を国別に地図にマッピングしたものなど

展示をじっくり見ているとそれなりに時間がかかる。

聖書文芸書と違い、装丁は一部、面白いものがありはしたが

内容が内容だけにそこまで凝ったものがなかったのは残念ではあるが。

(そして本の装丁はあくまでも愛好家の趣味なのだし)

図録がなかったのが残念だが、十分に堪能。

あらためて、じっくりと目録を眺めてみようと思う。