三月歌舞伎 仁左衛門と玉三郎門と玉三郎

仁左衛門玉三郎という若いころからのゴールデンコンビ。

久々登場とのことで、さすがに見たいなあ、と

チケットをとっていただけたので、でかける。


土手のお六とはお染久松の強請のくだりの悪党夫妻の片割れ。

あだな強請の場面もいいが、旦那もまた魅力的で

悪事がばれてもしれっと出された金をつかみとり

声をかけられれば居直ってにらみを利かせ

はては小道具に使った駕籠を、「おい片棒担げ」と

女房に声をかけ、最後はふたりで運びだす。

なんとも。湿っぽくならないしたたかさが素的だ。


神田祭はうってかわって

いなせな美男と粋な美女の、どこをとってもの姿の良さ。

いよっご両人と声をかけたくなる場面の数々。

花道で頬を寄せ合い、照れて見せるところまで

まあ可愛らしくも素晴らしい。


滝の白糸は、若手主演で玉さまは演出に。

せりふの多い芝居だが衝撃的なラストを見て

これも心中か、とあれこれ思いあぐねる。

自分が年を取ったせいか、これはこれ以外に成り立たないのか

生き延びるすべはないのか、と思いを巡らせるが

若さゆえ、一途ゆえに、追いこまれてするのが心中だからとも。


滝の白糸は舞台転換も多く終演も遅くせりふも多い。

お目当てもでないしと、2演目終わったあとは空席もパラパラ。

とはいえ、これはこれで若手の頑張りも見れて

久々の歌舞伎、十二分に楽しんで家路に。

立川談春独演会

久々贔屓の会。

武蔵小金井の会場で開演までに併設のギャラリー

学大生の金属工芸展を拝見。


談春:おしくら

談春:不動坊

中入り

談春:夢金


おしくらも不動坊もかつて聞いた威勢のいい芸風と少し違って

なにやらゆったりとした風情。

声量を絞っているのは、タバコを半年前にまた吸いはじめたせいか

喉の調子が悪いのか、あるいは喉を保護しているせいか。


夢金は、この人の語り口の落語絵本というのを見ていたせいもあり

そのときの絵の素晴らしさも思いだす。


もともと落語は語りだけでいかにその景色を目の前に浮かばせるか

というのが勝負の芸能ではあるが

雪の吹きすさぶ寒い晩に、風と雪を全身に受けて

渾身の力で(酒手をくれないかと欲を出しながら)船をこぐ

その場景が鮮やかに広がる。


それと感じさせはしないものの

声の調子の悪さがそこかしこに。


タバコをやめて、それとも仕事を少し絞って養生するか

本格的なボイストレーナーについて無理のない発声方法に切り替えるのか。


なににしてもまずは養生を。

関内寄席ネクスト

今や落語評論のほうで有名になった広瀬和生氏

(本業は洋楽専門誌の編集長)が選ぶ若手の競演、

関内寄席ネクストの第2回。

関内ホールが改修中で使えず2回目からは外会場。

今回は吉野町市民プラザにて開催。


チケットの電話受付の人は売り切れないから当日券で大丈夫

といってはいたが、念のため購入したところ会場も小さいせいか完売とのこと。

曇天でちらちらと白いものが舞う底冷えのする日で

完全防寒で出かける。


立川吉笑:くじ悲喜(新作)

立川こはる三方一両損

中入り

柳亭小痴楽明烏

三遊亭粋歌プロフェッショナル(新作)


出の浅さは関係なく4人の独演会を集めたようなもの

といいながら吉笑さんの「くじ悲喜」。

誰が主人公なのか想像しながら・・・とマクラでいいつつ

なんと紙の三角くじ同士が語る人生(くじ生?)という奇想天外な噺。

立川流の鬼才、というのがどうやら関内ホールのつけたキャッチだそうだが。

完全に発想から入るタイプだが、笑いもあって聞きやすい。


ついでこはるさん。

自分だけ、関内ホールでの評は「談春の弟子」

これじゃどんな落語家かわからない、とふてて見せるが

正統派の啖呵が見せ場のいなせな三方一両損

細くて小さな体で大音声の熱演。

きれいで現代的な古典、喧嘩っ早い江戸っ子の啖呵が見せ場。

女流っぽくなく、骨太で。って、やっぱり談春の弟子、でいいんじゃないかと。

NHKの演芸大賞の決勝戦の時は、並みいる先輩がたと比べて

きれいなだけじゃなあ、と思ったのだけれど

このごろは笑わせたり、はじけたり、ぐだぐだだったり

意識して振れ幅を大きく演じている様子。


中入り後、小痴楽さん。

お腹を壊して実家の母親に頼ったが邪険にされた話しや

故柳亭痴楽(実)の昔の落語家らしいぐだぐだなエピソード

素敵でそれらしい。

明烏も、少し間違えるくらいでちゃんと覚えてますよ、といいつつ

まずまず達者で今回は楽しい。


最後は粋歌さん。

年齢もあってかそれまでの3人のような前のめりのテンションはなし。

が、落ち着いて枕を振り、得意のOLネタというよりは人事ネタともいうべき新作。

小生意気で頭でっかちな新人が工場のライン作業の研修を嫌々受け

ベテランのおばさんたちの小言や仕草から推論しトライ&エラーで

QCサークル張りの創意工夫をしてスピードをあげてゆき

製造ラインのベスト記録を出すというもの。

番組のBGMまで使い、ほろりとさせるエピソードも要所に入り

うっかりすると感動しそうな構成と展開はさすが。


いろいろな二つ目に会えると嬉しいこと、と思うのだが

諸事情で次回以降は来るのに苦労しそうな予感が。

とはいえ、先のことを憂いても仕方ない。

落語国の住人に倣って、今この時を愛おしむ。

気のせいか、帰り道は寒さも緩んで。

やっぱり落語は、よいよい。

ディープラーニング以降

ふと見たTV番組から、そのシリーズを3回ほど見る。

動画サイトで探してバックナンバーを見て

さらにその講師のディップラーニング以降のAIについての本を

2、3取り寄せて読んでいた。


久々にかなり集中して読みこむ。

すでに3年ほど前の本になるが基本的な考えを押さえるには十分で

読むたびにちょっとした発見がある。


特徴量をとらえての簡潔ないい方というものが昔から好きで、

自分も常にそういう言い方をしようとする。

それがある種の人にとってはどうやらわかりにくいらしい

ということに気づいたのはいつ頃なのか。


行間から広がる連想や沸きあがる概念。

面白い、久々に。

何か書いてみるか、と考えるのも久しぶり。

楽しいな、それも久々だが。

初落語

今年の初落語はにぎわい座でのこはるちゃんの会。

 

立川こはる初天神
立川こはる:御慶
中入り
立川こはる:御神酒徳利

 

年末年始にちなんだおめでたい話を、ということで。

落語家の正月は1月20日まで(寄席の中席まで)なので、

その間にあった前座さんには千円のお年玉を上げる習慣があり、

お金がない2つ目は外出しないようにする、と笑わせる。

 

初天神はぐだぐだにごねまくる子供が飴を飲んでしまう下りまで。

御神酒徳利はTBSの国立劇場の会で聞いたはずだが、

これほど面白い話だったかなあ、と。

災い転じて福となす、なんとか難局を切り抜けるさまが痛快。

途中でほろりとさせるくだりもあって。

初落語にふさわしく、いい会でした。

 

 

にぎわい座クライマックス寄席

恒例のにぎわい座クライマックス寄席

気のせいか空席がちらほら。

今一つ盛り上がりに欠ける。


三遊亭全楽:子ほめ

立川志の彦:時そば

立川志のぼん:権助魚

寒空はだかスタンダップコメディ

立川生志:看板のピン

中入り

松本ヒロ:スタンダップコメディ

遠峰あこ:アコーディオン

立川志の輔三方一両損


生志さん。

マクラで貴乃花親方の振る舞いをいじったところ

客席後方の中年女性からよく通る短い反論が2回。

その人は外に出てしまったようだがしばし客席が

落ち着かない。

あれこれの納める努力も決まらず残念な展開。


大トリの志の輔さん。

それを意識したのか、怒りや悲しみは万人で共通するが

笑いのツボは人それぞれと新バージョンの三方一両損へ。

怒って席を立ったお客さんへの配慮なのか

生志さんへの言葉なのかあるいは単に噺のマクラなのか。


とはいえ。

にぎわい座の年末興行の客層は立川ファンとは少し違う。

7回忌を過ぎて談志の毒舌や武勇談に反応する落語ファン

確実に減っている。

万人に受けるようにとはいわないにせよ

人気が出る人は、人の癇にさわらない話し方を身につける。

その点、スタンダップの2人は手慣れたもの。


クライマックス寄席のトリは当面志の輔さんかな。

早く人気者を輩出して志の輔さんに楽をさせなきゃ。


そのあと、カウントダウンのコンサートに向かい

いや終電があるからどうせ最後まではいられないのだけれど。

ちょっとだけ、いつもと違う。

今年はそんなふうに。心がけて。

逢沢りく シザーハンズ

たまたま目にして。

 

年末に届いた素敵な贈りもののように。

その世界にすっぽりと。