賑わい座の小三治さんがとれたので
いそいそと出かける。
この近さで聞けるのは本当にラッキー。会場は満席。
売り出しで並んだ時もそうだったけれど、
1枚くださいとつつましくいうおひとりさまが男女共にいる。
せっかくだからと並んでいる間にメールを送ったり
電話をする人もいるけれど、こういうときは案外つかまらない。
前座は福治さん。
「野ざらし」と「狸の札」をあわせたような・・・と思って聞いていると
「安兵衛狐」とのこと。
噺に入る前の枕は、特定機密保護法のこと。
趣味のカメラ雑誌に掲載されていた写真のタイトル
「今の政治家のほとんどは戦争を知らない」云々をとりまぜて
日本の行く末を嘆いている。
「原発事故のあと、不謹慎かもしれませんが
ああこれで日本は変われる、よくなる、と思いましたが・・」
そうはならなかった、というような。
少し前にやはり70代になる恩師が、安倍さんのことと一緒に
この時代とその行き着く先を嘆いていたが。
それによく似た男親のかわいらしやら、しょうもなさやら。
絶妙の間合いとほどよく枯れた軽さで、客席にはくすくす笑いが絶えない。
中入り後、「禁酒番屋」。
談春さんで聞いた後だったので、その違いがよくわかる。
こちらも持ち味のおかしみを存分に味わわせていただく。
表にでると、満月。
ことによったら上の方がかけていたかしらん。
気持ちのよい春の宵。
お酒ははいらずともほろ酔いの気分で家路につく。