はじまったばかりの最初の方の回にゆく。
まだこなれていない、という印象。
終演後、誰が主人公だったのか、と連れが疑問を呈す。
真ん中で挨拶してたから、ベラ役の中谷美紀なんだろうけど、と。
言われてみれば、あの兄弟の生き残りの成長の物語かと思うけれど、
彼らは狂言回し役でしかないようす。
家族の物語、それもかなり不幸な家族の物語。
その根は、欧州のユダヤ人の迫害にさかのぼるのだが、
戯曲を読み終わってから、あれこれようやく落ちた。
台詞もあまり変えていないし、運びもこうだった。
理解できていないことは何もないのに、戯曲ほど主題が伝わらなかったのは・・・
草笛光子のおばあさんは、どうしてもやさしそうに見える。
本来はもっとがっしりした大女で、もっと厳しくてエキセントリックじゃないと。
あとは、ベラ役の中谷美紀と草笛光子のやりとりが早口過ぎて。
きっともっとじっくり聞かせないと、あそこが一番の山場だから。
総じて台詞が早すぎたのかも。
テンポは大事だけれど、決めの部分ははっきりと記憶に残らないと。
ユダヤ人だ、というのが衣装や見かけで分からないし
ユダヤ系で、弾圧されて、アメリカに渡ってもひどい苦労をして
やがて感情を押し殺して、子供たちに厳しく接して
生き残れるようにと厳しくするばかりだった、という
このユダヤ系の女の寂しい一生が伝わりきっていない。
それがあるから、ちょっと頭の弱い次女が
この母から精神的に独立して、自分の意志で生き始める
それがこの家族全体の救いになる、だからラストは
それまでの重さと不幸を打ち破ってからっとして明るい。
全国を一回りして横浜に来たら
もっとこなれているかしら。
もう少し練れて印象が変わったら、もう一度。
今度は確かにその鬼謀の形が見れるといいけど。