賃労働の系譜学、と

今野晴貴の「賃労働の系譜学」を読んでいた。

ブラック企業、ブラックバイト、やりがい搾取といった話題を耳にしていたが

ある程度まとめられたものを読んでみると、特に最近話題のギグワーカー

(とその評価システム)の問題などにも腹落ちするところがあった。

日本の労働組合は企業別で、交渉権がさほど強くないことが

欧米と異なる部分なのだな、とも。

 

 

自分が安定した正社員という身分でなくなったこともあり

正規雇用だけで生活を成り立たせるためには、某政党の言う

”時給1500円、一日8時間働けば暮らせるように”というキャッチは

案外妥当だと思いいたる。

社会保険料は私が社会人になったころよりもかなり率が上昇している)

そして比較的容易に次の仕事にありつけるか、厚めの失業給付があること

加えてこれだけ変化が早い時代には廉価(か無料)の職業訓練や研修制度が

大事なのだな、と実感としてわかる。

 

 

同じ時期に小野不由美の「十二国記」のシリーズを読み始めていて

コロナ給付金詐欺の話題や、ウクライナ問題なども耳にする時節柄

若き王の悩みや王を選ぶ麒麟という生まれながらの生業の葛藤というよりは

国家とそこに所属する民の関係性、

”国は何を民に与え、民は何を差し出すのか”といったことをつらつらと考える。

こんなことは、学校で通り一遍のことを学びはするが

働いて税金を納めることになって以降、さほどまじめに考えたことがない。

でも、国による自粛要請とそれに伴うわずかな給付、といった

非常事態に明け暮れたこの2年半ほどを考えると、

本当のところどうだったのかを知る必要がある。

 

 

コロナ後、東日本大震災後の復興税が成立したように

コロナ後始末税、ともいうべきものができると喝破した知人がいたのだが

それの有無にかかわらず、政府の実施したコロナ関連給付の多くは、

(膨大な事務コストともども)きちんと効果を検証されるべきだろう。

もちろんコロナのための施策は当然のこととして。

 

 

さて、映画「シンウルトラマン」を特撮に詳しい人と見に行ったのだが

シリーズもののせいか、話題作りのせいかエピソードを詰め込みすぎ

かつ低予算とコロナもあり、シンゴジラのような迫力ある戦闘シーンがない

妙な下からのアングルと顔のアップで迫力はあるがあくが強いなど

一気に見てしまうのだが、辻褄がどうなのか悩むところもあって。

駄作なのか怪作なのか、まあ、どちらかなのだろうが。

シンゴジラ」のような出来の良さを期待していたところからすると、

というところか。