資本主義の行方

年明けにBSの番組「欲望の資本主義」を見る。

どうも字幕というのが最近は視力が落ちたせいもあり見ずらい。

何度か巻き戻しながら見終わる。

 

 

このシリーズの過去の放送分をまとめた書籍も読んだが

最も共感できたのはチェコの経済学者セドラチェクの言説、

「脱成長」。

今回の番組では、コミュニズム復権を唱えて話題の

日本の経済学者・斎藤公平との対談が番組後半の多くを占める。

 

 

討論は勝ち負けではない。

が、終始押され気味に見えるセドラチェクに私としては共感をする。

迷いのないまだ若い(それゆえ極論にもなりうる)斎藤の論調を、

「どういったらわかってもらえるのか」と悩みながら答える様子に。

 

 

脱成長ということが、資本主義とは相入れない、そこから

来ていることは確かなのだが、もはやこのままではいられない。

共産主義の失敗と惨状を目のあたりにした世代としては

「歴史に学べ」といいたいところなのだが・・。

 

 

並行して、与那覇潤『中国化する日本』を読み終わる。

なんだか一通り得心した気になるが、ここからもう一度

『平成史』に立ち戻ると著者のいう絶望も希望も少しはわかるのかも

しれない、と。

 

 

脱成長に至るまでには、まだもう一段、選択肢がある。

それがどういう結果になるかはわからないがスウェーデンモデル

があることは確かだろう。試してみる価値ある実験として。

ただ、そこそこの福祉・低負担を求める日本の国民が

そちらを選ぶかどうか定かではなく、

とはいえ、成長というものに縛られる指導者層が

すぐに脱成長にも共産主義にも舵を切るとは思えない。

 

 

年始にふさわしい問題提起だったと思う。

いやおうなく、何を選ぶかを問われるのだろう。

そして曖昧な日本モデルというものが、何か素敵な「ブロン」

星新一の作りだした造語。このショートショートは印象的で

 自分でもよく比喩として使っていた)

が現れることを祈りつつ。

 

 

まずはオミクロン株の行方を注視。