カズオイシグロの作品はすべて読んでいたつもりが。
ノーベル賞受賞記念で読み落とした作品を読み始める。
この人の作品の中では最も心に響いた。
いつも、記憶が隠しテーマになっている。
というより、失われた記憶や隠された真実や謎
そんなものが物語の進行とともに解き明かされる。
そういう謎解きにも似た展開に惹きこまれるかどうか。
忘却を作りだす龍。
大切な記憶が失われ奪われる一方で
忘却したい記憶や
殺戮や復讐の連鎖を断ち切り平和を保つ手段ともなる。
忘却の中で今この一瞬だけを感じ取る
そういう人生がなにをもたらすのか。
答えはその人の生き方の中に。