英語で落語

地元で時折、2つ目を使った気軽な落語会があるが

今回は英語落語ヴァージョン。

演者はイェール大卒で話題の立川志の春。

 

英語落語というといくつかやり方があるようだ。

一つは一之輔欧州公演の時のように、演者は普通に日本語で演じ

そこに現地語(英語とは会議らない)の字幕がつく。

この方式は、字幕の出るタイミングに合わせなければ笑いがずれるため

一度決めたテンポが買えられず、アドリブも不可という点が欠点といえば欠点。

もう一つは、英語に訳す作者がおり、その英語を落語家が暗記して高座にかけるもの。

国際交流のプロジェクトなどで、いわゆる英語の先生などが

簡単な落語高座、落語の特徴などちょっとした聞く際のコツの解説がある。

欠点といえば、ある程度演者が慣れないと聞きずらい、とかアドリブなどの

観客や客席の雰囲気との当意即妙なやり取りはこちらも期待できないこと。

そして最後。英会話落語口演の双方に素養のある演者による口演。

今回がそうだが、もっとも自然なものだと推察するが、演者を選ぶだろう。

 

志の春:転失気

志の春:(小咄ヴァージョン)寿限無

志の春:動物園

 

解説に始まりほぼ全編が英語。

もちろん、様子を見ながら日本語を交えはするが

絵が終了したあとのちょっとした質疑応答コーナーでも、

日本人の質問も英語だったところからすると

英語を話すこと自体に興味がある日本人と日本在住の外国人が客層。

英語の興味から来ていたようで

(お辞儀のあとに拍手がなかったことからも)

落語ファンはほとんどいなかったようだ。

 

落語自体もともとが大衆的な芸能であるせいか、平易な英語である。

簡単な単語しか使わず、発音ネイティブっぽくなく非英語圏の人間にきわめて優しい。

粗筋を聞いていれば中学生でもついてこれるだろうか。

はじめこそ、ごく簡単な説明落語家ナレーターではなく、すべての登場人物を

一人で演じること)と演じ分けの実演(学校から戻った子供を、父親が出迎える、

母親が出迎える、祖父が出迎える、祖父が出迎えるという寸劇)、小道具の説明

のあとはマクラ代わりの森元首相クリントン大統領の有名なエピソードを小咄がわりにして、

そのまま転失気へ。

 

転失気を酒とするのは英語ならではだろう。

(日本語では転失気が「あったか」と問うがここではhaveを使ったため

 摂取したか、ともとれる)

とかなんとか、そんなことを考える程度には聞き取れる。

 

会場からの質問も

あなたの英語のバックグラウンドは? とか

英語での話はどのくらいある(持ちネタはいくつ)か?

などなかなか鋭い。

 

通常の落語会とは異なるものの演者は達者で危なげもなく。

転失気のような落語が案外英語になじむのかと発見もあり。

気楽な落語会、はかわらずで、外人向けの落語会、ありかもね、と。