真実の10メートル手前
読み始めて、流行りのイヤミスかと思うが
読後感は悪くなかった。
読後感に救いがある理由ははっきりしている。
主人公の、グロテスクな真実を前にした
決して正義感だけではない、
悩みながらも一貫した態度を取ろうとする
筋を通そうとするその態度が、救いなのだろう、と。
やりきれない、うんざりするような他者とのせめぎあいの中。
自分を含めた、人間の弱さやどうしようもなさを肯定して
その上で何ができるか。
そんな姿勢に。
それにしても、いまどきこんな姿がはまるのは
若くて芯の強い女性だけなのだろうか。
案外、それも真実かもしれない、と。