立川こはるの冬休み

久々のにぎわい座。

そこの主催のこはるさんの会にゆく。


このところ、ようやくマクラがマクラらしくなってきた。


師匠のエッセイ「赤めだか」がドラマ化されるにあたり

その師匠役がジャニーズの嵐、二宮君に決まったところ

落語を聞きもしないし、関心もない同世代の友人たちから

メールが相次いで入ったという話など。


入門したてのころ、働いていたパン工場のおじさんたちが

競輪や競艇をやっていて、当時の競艇のビッグレースの際

そのTVの実況中継の司会者をやっていた師匠・談春を見て

予想の通り買って大損した時以来で、と笑わせ

随分変わったものだ、と。

自身もBSのテレビに出ている話や大師匠談志の家の改装の

番組、「劇的ビフォア・アフター」の話などをして

今年は頑張らなくちゃ、とつぶやくようにひとりごちる。


そのまま「出来心」へ。

 

イスラム国の人質になったジャーナリストの母上の会見をみて、

その要所要所にはさまれる「反原発」が決まり文句のようで

という枕から、根岸は風流とつなげて


茶の湯


中入り後、世田谷のぼろ市で茶道の道具「蓋置」や

鉄瓶を買った話をひとしきりして


「藪入り」


今回はこの「藪入り」が、生活の苦労の成果がでたのか

秀逸だった。

人情話がすべらずに心に染み入るように聞けるのは

その陰に自身の辛い想いややりきれなさが

肥やしになってにじむから。


はつらつとした元気で、後輩の面倒見のよいしっかりものの

この人も、年相応に、あるいは年齢以上に

あれこれ苦労をしていると見える。


芸人は自分の体験や感情、嬉しさばかりではなく

むしろひどい目にあった時の感情

理不尽に対する怒り、ないがしろにされる悲しさ

信じていたものを失う茫然自失などが

芸の肥やしになるものだから。


若いうちにどうぞいろいろな思いを。

それがあなたの芸を深くよりよくしてゆきます、

そんなことを考えていたら、北風の吹く外で

帽子をどこかに置き忘れたことに気づいた。


やれやれ。

首をすくめて、駅までの道を歩く。

こんなこともあるさ、と。