SFっぽい芝居だった。
といってその設定が大事というわけでもなく
その設定下で起こる人間ドラマ、という正統派の作品。
とはいえ、その設定はタイトルから暗示されるように
きわめて同時代的である。
動物化するポストモダンを思い浮かべたが
あながちはずれてもいないだろう。
見た瞬間に強烈な多幸感につつまれて目が離せなくなり
時間の感覚が飛んでしまう不思議な柱状の隕石が現れ
まるで神か超越的な存在が行っているかのように
ある一定規模以上の人口の都市にあらわれて
対処の仕方の分からない多数の人々が事故にあい死んで行く。
都市が分断され、経験則から対処の方法を学んだ人々により
「御柱(みはしら)様」というご神体として隔離されるようになった未来に
その隕石の働きかける快楽から自由になった人類の出現と
そこからの開放(とその先に、もう一度都市=拡大する文明が再生される希望)
が暗示されて芝居は終わる。
アポカリプス、というのが、小劇場からこっち
芝居にはつきもののフレームワークだが
なんというか、非常に冷静な感じがした。
レムの考える海とか、2001年宇宙の旅の猿とかを俯瞰してみる
正しきSF的な態度というのか。
久々にまるで60年代のようなスケール感のあるSFの良品だった。
満足、満足。