無観客で開催されたよみらくごを、配信で拝見。
わるいやつら、が共通テーマ。
滝川鯉八:にきび(新作)
春風亭一之輔:鈴ヶ森
鯉八さん、怪作を怪演。
一之輔さんの言う通り、トップバッターとしてはどうなのか、という気もするが
本人は承知の上。
一之輔さんの鈴ヶ森は、ばかばかしい一之輔ワールド。
文菊さん、この居残りはとてもよく。次もどこかで聞いて見たいもの。
正楽さんの紙切りもテーマをちゃんとなぞっており、秀逸。
そして、トリの一朝師匠。
この噺は、いいたての部分も言い終わった後の合いの手も
いわずとしれた志ん生師匠の噺が有名だが、
一朝師匠がやると、筋だけ聞くと陰惨な話のはずだがさらりと聞かせる。
この主人公というのは、合理的とでもいうのかどうなのか
ずいぶんなことをして死人から金をせしめるのだが、ばちが当たるでもなく
それを元手にした商売が繁昌するというもので。
考えようによってはかなりの悪人でもあろうが、それと感じさせないあたりは
さて、こういうあっさりとしたところも江戸前というのかしらん。
拝見するに人柄のよさそうな、見るからに善人という風情なのだが
野暮にならず歯切れよく、くどさがない。
というわけで。
どの演者もそれなりに聞きごたえがあって、お得なパッケージでした
という感想になるだろうか。
テーマがある、というのも面白く、流れもあって
それを楽しむのもいいのかも。
ホール落語は、いましばらくは開催されない様子で
その間は配信やらDVD、音源、一部の寄席を頼りに血中落語濃度を保つしかない。
再開を待ちわびて、延期になったチケットを大事にしまっておく。
あたらしいチケットには、まだちょっと手が出ないのだが・・