三月歌舞伎 仁左衛門と玉三郎門と玉三郎

仁左衛門玉三郎という若いころからのゴールデンコンビ。

久々登場とのことで、さすがに見たいなあ、と

チケットをとっていただけたので、でかける。


土手のお六とはお染久松の強請のくだりの悪党夫妻の片割れ。

あだな強請の場面もいいが、旦那もまた魅力的で

悪事がばれてもしれっと出された金をつかみとり

声をかけられれば居直ってにらみを利かせ

はては小道具に使った駕籠を、「おい片棒担げ」と

女房に声をかけ、最後はふたりで運びだす。

なんとも。湿っぽくならないしたたかさが素的だ。


神田祭はうってかわって

いなせな美男と粋な美女の、どこをとってもの姿の良さ。

いよっご両人と声をかけたくなる場面の数々。

花道で頬を寄せ合い、照れて見せるところまで

まあ可愛らしくも素晴らしい。


滝の白糸は、若手主演で玉さまは演出に。

せりふの多い芝居だが衝撃的なラストを見て

これも心中か、とあれこれ思いあぐねる。

自分が年を取ったせいか、これはこれ以外に成り立たないのか

生き延びるすべはないのか、と思いを巡らせるが

若さゆえ、一途ゆえに、追いこまれてするのが心中だからとも。


滝の白糸は舞台転換も多く終演も遅くせりふも多い。

お目当てもでないしと、2演目終わったあとは空席もパラパラ。

とはいえ、これはこれで若手の頑張りも見れて

久々の歌舞伎、十二分に楽しんで家路に。