久々登場とのことで、さすがに見たいなあ、と
チケットをとっていただけたので、でかける。
土手のお六とはお染久松の強請のくだりの悪党夫妻の片割れ。
あだな強請の場面もいいが、旦那もまた魅力的で
悪事がばれてもしれっと出された金をつかみとり
声をかけられれば居直ってにらみを利かせ
はては小道具に使った駕籠を、「おい片棒担げ」と
女房に声をかけ、最後はふたりで運びだす。
なんとも。湿っぽくならないしたたかさが素的だ。
神田祭はうってかわって
いよっご両人と声をかけたくなる場面の数々。
花道で頬を寄せ合い、照れて見せるところまで
まあ可愛らしくも素晴らしい。
滝の白糸は、若手主演で玉さまは演出に。
せりふの多い芝居だが衝撃的なラストを見て
これも心中か、とあれこれ思いあぐねる。
自分が年を取ったせいか、これはこれ以外に成り立たないのか
生き延びるすべはないのか、と思いを巡らせるが
若さゆえ、一途ゆえに、追いこまれてするのが心中だからとも。
滝の白糸は舞台転換も多く終演も遅くせりふも多い。
お目当てもでないしと、2演目終わったあとは空席もパラパラ。
とはいえ、これはこれで若手の頑張りも見れて
久々の歌舞伎、十二分に楽しんで家路に。