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江國香織「間宮兄弟」 ジュンパ・ラヒリ「別の言葉で」

間宮兄弟」はDVDで見たことがあったのだが
江國香織の小説とは知らなかった。
一読して切なくて暖かくてとても気にいってしまう。
兄弟がはたから見たら浮世離れして気持ち悪く見えたとしても
好きな本の中の一節や、そこからインスパイアされたことを口にして
ほぼ瞬時にその感覚がわかりあえる、そんな相手に
人生の中でいったい何人巡り合えるかといったら。


そんな幸せを、価値観を、感覚を。
打てば響くように感じあえて、なおかつ当たり前に穏やかに
互いの存在を大事に思いあえる関係性。
全幅の信頼感をもって対峙できる相手にいったいどのくらい巡り合えるのか
まして身近に住まい、いつでも話せるところで。


競争ばかりしている子供っぽい男の子の中にだって
繊細で知的で言語感覚と感受性の豊かな、
ずっと話していたいと思える、そんな人をまれにではなく見つけた。
ほんの一時期、純朴な人の集う田舎の大学街では
それが珍しくもなく。
当たり前と思い、この先何人でも出会えると思っていた。


そんなことは、その先さっぱりなかったのに。


ジュンパ・ラヒリのエッセイを読みながら
友に出会える時期は実はひどく限られていることを思う。


自分の感受性が摩耗したわけではないことを確かめるように
人は年老いても小説を読む。
そんな気がする。