久々にキングの新作を読んだのは
この作品が、かの「シャイニング」の続編だと聞いたからに外ならず。
シャイニング=輝けるもの、そして特殊能力者。
いわゆる超能力ものなのだが、
むしろ見えてほしくないものが見えることからくる不安定さや、
特殊な力を持つが故の、そしてその扱いについての
ガイダンスをする人のいないことからくる不安定さ、
そんなものが物語にからまる通奏低音のようなもの。
ある時期が来て、かつて自分を導いた人がいたように
自分が導きをしなければならなくなった子供との出会い。
それによっても、自堕落な自己と決別する主人公の
物語でもある。
もちろん大衆的な人気作家としてのキングだけに
物語の完成度、スリルやエンタテイメントとしての
物語の強力な軸も存在し、それが真結族という名の
輝きをもつ子供の命気を吸い取って生きる、吸命鬼のような
一族の存在であるのだが。
シャイニングを読んだ時期を振り返りながら
それなりに自分の来し方を振り返る。
それほど特殊な能力はないにせよ。
あなたはいったいどうなの、とつぶやくように。