鬼平といえば吉右衛門の当たり役で
それはもう、そんじょそこらの役者には演じてほしくない
役どころではある。
志ん朝の朗読があるとは知らず
CDをたまたま見つけてこれを聞く。
音楽はあるが、わざとらしい効果音はほとんどなく
煩さのない、実に行き届いた朗読となっている。
もちろん、地の文章も会話も
とびきりであり、いつぞや聞いた立川談志の
「新選組血風録」とは好対照をなしている。
まずは1巻、平蔵の生い立ちからはじまり
本所あたりのいかがわしさと
若かりしころにあこがれたほのかな思いの香る
本所 桜屋敷の章。
あっさりとした終わり方にかえって思いが
香るものらしい。
男の純情といって、このくらいなら許せるか
そんなことも思いながら。
さて第2巻。