仲蔵狂乱

中村仲蔵の生涯を描いた「仲蔵狂乱」 松井今朝子を読む。

芸の工夫をして独自の定九郎役を作り上げたのは

波乱万丈の役者人生のなかのほんの序の口・・・

声が悪くて苦労をしただけでなく

それはそれはの筆舌につくしがたい苦労の数々。

歌舞伎本流の家柄でもなく、下積みから叩き上げ、声も悪くて、

実力で人気がでる度に嫉妬でひどい目にあうなど苦労をかさね・・・

そのあたりが、ACTで志の輔さんが思入れたっぷりにやる所以なのかも。

 

 

でも仮名手本忠臣蔵の筋を1時間かけて解説するより

後ろ盾がなければ端役しかもらえない芝居の世界と仲蔵の屈折や、

上にいけばいくほどはるかな高みが続いていく厳しい芸の道なんかを

語った方が説得力あるのになあ、と。

 

 

若い子に忠臣蔵の筋を解くよりは

芸能や芝居小屋のしきたりや

理不尽な人間の嫉妬やいじめを解説する方が

スクールカーストのなか生き抜いてきた今の子にはひびきそうなもの。

って、私がプロデューサーならいうんだけれど。

立川流は皆、プレインヤー兼プロデューサーだから。

プロデューサーはいらないか・・・ちょっと残念。