上半期最後の一門会

談春さんの一門会を聞きに行く。
最初に「この時点」での弟子が勢ぞろいして
まるで襲名披露のよう。
前座さんのなかで登校拒否と退校が続出
という師匠の言葉を聞くと、どうやらまたお休みしている人と
辞めた人が出た様子。
立川流は生き抜くのが厳しいからか
あるいは向いていないのなら早く辞めて他の道を探した方がいい
ということなのか、辞める人は他の落語団体に比べて多いような印象。


志の輔さんの弟子も多く辞めているとさらりとふれて
そのあとは夜の部では出番のないお弟子さんに趣味の話をふり、
そのついでにというわけではないが流れで結局全員に話をふって
そこそこ笑わせて締める。


前座さんは春来さん。寄り合い酒。活舌はいいけれど。
ついで談春さん、長短。
中入後、予告どうりに春吾さんの新作。
ませた子供が大人を困らせる話で疑古典というやつか。
横丁のご隠居、金坊、八っつあん、とお馴染みの登場人物で
中身は新作。
次にでてきた師匠にタイトルはと問いかけられて「お化けの気持ち」
とは師匠と正反対の脱力系。
よくできており、笑いも十分。


トリは談春さん、紺屋高雄。
笑わせすぎた弟子の後で「アイラブユーという言葉を・・・」
とはじめるのはいかにも大変そう。
途中で「tokyoといわれたときの安倍さんみたい」などと
笑いをついいれてしまい、自らテンションを切るようなブレイクも。


とはいえ、いかに上手とはいえ
噺の内容自体がリアリティをもたせるには難しいもの。
ありえないと思わせて、それでもほろりとさせる。
そこまでもっていくには、テクニックとあともう少し何かが必要で
今回はその何かがほんの少し足りない。
実話でございます、と締めて
どんちょうが降りる前に、ではさようならといったところを見ると、
また次回のチラシがなかったところを見ると
今回でいったんは終了ということなのかしらん。


もともと力技で勝負する独演会を精力的にこなしてきて
今の地位を築いた人だけに
流れを考えての寄席形式の高座は苦手なタイプ。
今回は昼夜でもあり、前半をごく軽く短く終えていた。
後半はたっぷりのつもりだったから、とすると
ペース配分を考えてのこと。


この場所で下半期も続けて一門会なり独演会がみたいなあ、
という暖かい気持ちで賑わい座をあとにする。
気がつくと気になっていた背中の凝りが消えていて
いい時間を過ごしたことに気づく。
ゲリラ豪雨はすっかりやんで、大観覧車を眺めながら家路を急ぐ。
半沢直樹は半分しかみれないけれど、もちろん満足の体で。


趣味の競艇は、生まれ変わったらもちろんそちらの道に進む
というほど命をかけているという談春さん。
それほどではないけれど。
私もこれでも落語も談春さんも好きですよ、とふふっと笑って。
雨上がりの横浜をあとにする。
さて、下半期は、と思いながら。