賃労働の系譜学、と

今野晴貴の「賃労働の系譜学」を読んでいた。 ブラック企業、ブラックバイト、やりがい搾取といった話題を耳にしていたが ある程度まとめられたものを読んでみると、特に最近話題のギグワーカー (とその評価システム)の問題などにも腹落ちするところがあっ…

映画「大河への道」

志の輔さんの新作落語「大河への道」が映画化されたので見に行く。 面白く拝見した。 伊能忠敬の死後、地図を完成させようとして奮闘した測量隊(伊能隊)の面々と それをなんとかかなえようとした天文方・高橋景保など、 あまり知られていない市井の人たち…

映画「大河への道」

志の輔さんの新作落語「大河への道」が映画化されたので見に行く。 面白く拝見した。 伊能忠敬の死後、地図を完成させようとして奮闘した測量隊の伊能隊の面々と それをなんとかかなえようとした天文方高橋景保など、 あまり知られていない市井の人たちの決…

三十石

米朝さんのCDで聞いてから、三十石はとても好きな噺のひとつ。 TVの「日本の話芸」で桂春若さんがかけるというので聞いてみる。 ご本人はこの噺を先代の文枝さんに教わったとのことだったが 舟の櫓の漕ぎ方は、談志さんにも教えてもらったとのこと。 こ…

三十石

米朝さんのCDで聞いてから、三十石はとても好きな噺のひとつ。 TVの「日本の話芸」で桂春若さんがかけるというので聞いてみる。 ご本人はこの噺を先代の文枝さんに教わったとのことだったが 舟の櫓の漕ぎ方は、談志さんにも教えてもらったとのこと。 こ…

長期化

ウクライナの紛争はコロナ同様長くかかるというのが大方の見方のようだが。 どちらも引かない(引けない)、という膠着状況が続き まるで19世紀のような、と形容される紛争に、 21世紀的なスマートな着地点があるのかどうか。 経済が分かちがたくつなが…

志の輔noにぎわい

にぎわい座の20周年記念公演の第2弾に出かける。 寄席形式だからトリに志の輔さんが一席かしら、とおっとりと 出かけると開口一番からご本尊が登場。 どこぞの国の紛争騒ぎをマクラに、隣家のタケノコの越境という ほのぼのした話で始まる。 ついで、国連…

予告編

NHKの「欲望の資本主義」を見返していて パンデミックはこれからの社会で起きることのある種の予告編だ、 というセドラチェクと斎藤幸平の対話を聞いていて なかなか予言的だった、と思う。 とはいえ、日常生活は淡々と(外的事情に振り回されながらも) …

人新世の資本論

毎日のように理不尽な戦火の映像が流れて、気分が沈む中、 話題の書を、今頃ようやく読む。 世間一般の人からすれば、マルクスも資本論もコミュニズムも ああはなりたくない、という国々の制度でしかなく ここにはマルクスの晩年の思想とその新解釈があり そ…

騎士団長殺し

そういえば、読んでいなかった、と今頃になって手にする。 村上春樹は、『神の子どもたちはみな踊る』以降は、 どうもあまり好きになれず。 いまだにベストは『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』で 『ねじまき鳥クロニクル』のあたりから文体と…

騎士団長殺し

そういえば、読んでいなかった、と今頃になって手にする。 村上春樹は、『神の子どもたちはみな踊る』以降は、 どうもあまり好きになれず。 いまだにベストは『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』で 『ねじまき鳥クロニクル』のあたりから文体と…

資本主義の行方

年明けにBSの番組「欲望の資本主義」を見る。 どうも字幕というのが最近は視力が落ちたせいもあり見ずらい。 何度か巻き戻しながら見終わる。 このシリーズの過去の放送分をまとめた書籍も読んだが 最も共感できたのはチェコの経済学者セドラチェクの言説、 …

目黒にて談春さんの会

新春公演なので初春気分の仕掛けがあるかしらん と思って出かける。 公園の中のホールは日が落ちると真っ暗で足元も見えず、 折からの寒さもあり寂しい限りだが、 その中で灯のともるガラス張りのホールのロビーが見えてくると たいそうきれいな幻燈のようで…

花緑さんの文七元結

年末に、テレビの数少ない落語番組で花緑さんの文七元結を聞く。 この番組の尺は20分。ご本人の解説というか、一言が落語の前につくのがお約束。 はじめの方こそ、多少説明的だな・・というセリフがあるのだが 後半は気にならない。 おおよそ1時間はかかると…

にぎわい座年末興行

にぎわい座の年末興行に、どうやらしばらくご無沙汰だった模様。 3回目のトライでようやくチケットが取れてでかける。 いつにもまして冷え込みが厳しく、久々に冬らしい一日。 今年の公演は変則的で、昼公演と夕方からの夜公演でカウントダウンはなし。 志の…

与那覇潤『平成史』を読む

大冊である。 平成の30年間を振り返る通史なのだが。 終盤に近づくにつれメランコリックになっていき とはいえ、(著者の病気その他の体験を通して)最終的には 半ば開き直入りのような諦念というのか希望というのか。 これだけでは補助線が足りない気がして…

扇遊さんの会

友人の家人の主催する落語会へゆく。 何故だか感染者が減り、そろそろ旅行も飲み会も解禁かという世の中に また変異株が出てきて、少々の冷や水。 遊京:粗忽の使者 扇遊:一目あがり 扇遊:お見立て 仲入り 扇遊:芝浜 遊京さん、前回聞いたときより口舌が…

「欲望の資本主義」を読む

NHKで放映された同名の番組のこれは書籍化になる。 番組も見ていたはずだが、最初の方は見逃していたかもしれない。 いろいろと示唆に富んでいるのだが、 とりわけ、経済学者のダニエル・コーエンがいう 「全員が芸術家のように生きねばならない社会の到来」…

「欲望の資本主義」を読む

NHKで放映された同名の番組のこれは書籍化になる。 番組も見ていたはずだが、最初の方は見逃していたかもしれない。 いろいろと示唆に富んでいるのだが、 とりわけ、経済学者のダニエル・コーエンがいう 「全員が芸術家のように生きねばならない社会の到来」…

高瀬舟のことなど

今月号の文芸春秋にロバートキャンベルさんと有働由美子さんの対談が載っている。 井上陽水と村上春樹の文体のことなどを面白く読む。 キャンベルさんの、井上陽水の歌詞の英訳は一頃話題になったらしい。 時制、人称、何を何がといったかかりが曖昧で、それ…

都内の定席(寄席)にでない一門のこと

上方はしばらく定席がなかったこともあって 上方落語協会と米朝一門会にはあまり違いはないのかもしれないが。 東京では、定席に出ない一門が2つあり ひとつは五代目円楽一門会で、もうひとつは落語立川流となる。 もともとはここに所属する落語家の多くは…

立川志の輔 独演会

9月に取れていた志の輔さんの会が 緊急事態宣言が延びて延期になり、やむなく払い戻しをする。 そのかわりというわけでもないが、宣言が開ければ追加発売がある と聞いた会場の売出を待つ。 無事チケットが取れて、そういうわけでちょっとした敗者復活戦の…

立川志の輔 独演会

9月に取れていた志の輔さんの会が 緊急事態宣言が延びて延期になり、やむなく払い戻しをする。 そのかわりというわけでもないが、宣言が開ければ追加発売がある と聞いた会場の売出を待つ。 無事チケットが取れて、そういうわけでちょっとした敗者復活戦の…

庵野秀明展

小三治さんの訃報を聞き、しばらく茫然とする。 ついこの間の高座で拝見したばかりで、もしやあれが最後の高座だったのかと。 訃報の続報を読むと、直前まで体調はよかった様子。 全くの急死だったようでますます惜しまれる。あらためて合掌。 さて、国立新…

吉例柳家一門会

お目当ては小三治さん。 NHKのドキュメンタリーで拝見すると 80歳をこえて体力的にはなかなか厳しそうではあるが。 小はぜ:狸鯉 三之助:替り目 小里ん:五人廻し 仲入り 小三治:猫の皿 今回はずいぶんと長かった緊急事態宣言が開けて最初の週末。 酒…

吉例柳家一門会

お目当ては小三治さん。 NHKのドキュメンタリーで拝見すると 80歳をこえて体力的にはなかなか厳しそうではあるが。 小はぜ:狸鯉 三之助:替り目 小里ん:五人廻し 仲入り 小三治:猫の皿 今回はずいぶんと長かった緊急事態宣言が開けて最初の週末。 酒…

秋雨前線

カレンダーが1か月先になったような陽気。 夜、寝心地がいいのは助かるが、暑さがぶり返す時はまた辛い、と 先を読んで憂鬱になる。 落語会に出かける日にワクチン接種が重なり 予約を取りなおすかどうかで悩んだ末、当日内の時間変更なら手続きがいらない …

夜廻り猫

「夜廻り猫」の6巻を読む。 この漫画がはじめは発表するつもりもないまま描かれて (作者の息子さんの入院の気晴らしにとはじまった) やがてツイッターに投稿が始まり 評判になって出版までこぎつけたのだという。 台湾でも良書10選に入り、ブックフェアに…

落語会をいくつか

7月から落語会に何度か足を運ぶ。 日に日に感染者数が悪化して、夏休みどころではないこの頃。 旅行をあきらめておとなしくしているがせめて落語会くらいは・・ まずは扇遊さんの会。 知り合いが席亭をやっており、見学かねて伺う。 遊京:蛇含草 扇遊:家見…

秋の気配と坂口恭平「お金の学校」

オリンピックが終わり、パラリンピックがもうじき始まる。 観客をいれるどころではなく、緊急事態宣言も早々に延長となる。 ワクチン接種が進めば秋には需要が爆発するという予測を 春先に聞いたときには楽観的過ぎると思ったものだが やはり一筋縄ではいか…