大みそかはにぎわい座で

にぎわい座でカウントダウンのひとつ前の部ができたと聞いて。

なにしろ終夜運転をしない最寄り駅在住。

カウントダウンはなあ、と思っていたのでこれ幸い。


とはいえ、時間はかなり半端。

大掃除やら買いだしで遅昼を食べてギリギリに出たので

買い物には寄れずじまい。

終わった頃にはまだ時間は浅いはずが大みそかだけに

早じまいの店ばかりで。

結局乗り換えの駅のこじゃれた蕎麦屋にしばし並んで

店の名前にもなっているお決まりのお蕎麦をいただくくらい。


立川志の彦:初天神

立川志のぽん:魚根問

遠峰あこ:アコーデオン

立川志の春:新作 絶校長

寒空はだかスタンダップコメディ

立川生志:金明竹

仲入り

松元ヒロ:スタンダップコメディ

立川志の輔:新作 ハナコ

年末ご挨拶

志の彦さん、前段もなくいきなり参道のお店まえからはじまる。

滑舌もよいし安定感あり。

年末駆け込み婚活中という志のぽんさん。

まじめで硬そうな様子は自己紹介の通り。魚根問は初めて聞く。

遠峰あこさんは真っ赤な振袖にアコーディオンをしょい、野毛を流しているそうな。

パンチのある歌声で。

志の春さん、テンポの良い切れのあるダジャレが炸裂し、爆笑。

便秘だけど会長(快調,腸?)などなど、イェール大卒?と

突っ込みたくもなろうというもの。


生志さんは落ち着いた風で枕から。

談春さんの「赤めだか」がドラマ化され

年末に放送されたことを受けて。

亡くなって4年もたつと談志も忘れられていきますが、

テレビを見なくなったとはいえTBSがあれだけ宣伝したせいで、

さすがにいろいろな人に談志師匠のドラマやったね、と言われる。

ドラマでは弟子想いに描かれてましたが、あの用事を言いつけられるシーンで

フラッシュバックして体が硬直しました、などと。金明竹


仲入り後、ヒロさんの政治ネタ、鹿児島実業ネタなどおなじみの笑いのあと

志の輔さんは新作。ああ、新作か、とちょっとがっかり。

凄みのある古典の大ネタが聞きたかったのだけれど、持ち時間もさほどなく。

あらかじめ申し上げておきますが・・・の前ふりでハナコ。


年末に悪い知らせが届いたけれど

気を取り直して新しい年に向かう。

前をむいて、笑って、笑って。

命をとられたわけでもないもの。そう気を取り直して。

ヴーヴ・クリコとモエ・エ・シャンドンの違い

シャンパンの中でそこそこのお祝い感のあるクラスとして
この2つがポピュラーだが。
私はモエのほうが好きで、それはそういうお好み
というつもりで。


品種を調べてみたが、シャンパーニュ地方のシャンパンは
ブドウの品種は同じ、3種類。
ピノ・ノワールピノ・ムニエシャルドネ
同やら比率が違うために、それだけで飲み口が随分変わる
と今回初めて知る。


ヴーヴのほうは、ピノ・ノワールの比率が高い。
骨格とワイン界ではよくいうが、それがしっかりしている。
つまりしっかりとした強いシャンパン。


モエのほうはシャルドネの比率が高いのかと思いきや
同じようにピノ・ノワールの比率が最も高いが
3種の比率にさほど差がない。
いわゆるバランスのとれたシャンパーニュ
すべての品種の良さを併せ持ち、シャルドネのフルーティさ
ピノ・ムニエのまろやかさ、ピノ・ノワールのしっかりさ
すべてのバランスがよく、それぞれを後味やファーストインプレッションで味わえる。


あら、そうなの。
あなたはヴーヴの系統だと誰かがいってた。


あなたのエッジは少し揺らぐけど
私はあなたにまろやかさを付け加えて
もう少し、大衆寄りに、マスを味方につける幅を
身につけさせたとのかしら。


あざむいたとしても、あなたの本質には変わりがない。
失われようもないものはしっかりと底にある。
それを忘れないで。

ドラマ「赤めだか」

随分軽い仕上がり、と思ったのは
演者が二宮君だったせい、と思いいたる。
本人はもっと熱くてとがっていて多分へそ曲がり。
それがさわやかな好青年が演じるとこうまで軽くなる。
ちょうどいいリアル。


志らくさん役の濱田岳も出色の出来。
こちらは志らくさんらしいナードな雰囲気全開で
しかも今すぐ落語家になれそうな
所作といい口調といい、様になり方で。


ああ、なるほどね。
談春さんのお弟子さんに見たのはこういう次の世代の軽さ。


こはるさんは自分を称して
立川流で育ったので、オオカミに育てられた人間の子供みたいなもの」
というけれど。
いえいえ、師匠の口調やたんか、古典落語のうまさは
十二分に学んでいますから。
そのベースの上に、自分のものをしっかり組み立てれば
第1世代よりも時代に合った落語を作れるに決まっている。


このドラマ、実は次の世代の落語家とそのファンへのエールのように思えて。
あら、たまには師匠らしく大人で素敵なこと。
ちょっと褒めてあげたくなる、談春さんを。

一之輔 小三治 二人会

面白い組みあわせ、とチケットを手配する。

送られてきたチケットをしげしげと眺めると

あらら、一番端の席。


開口一番は柳家小はぜさん。

一目上り。あぶなげがないので、それなりに年数を経ている模様。

次が一之輔さん。

高座に上がってしばらくは、なんだかおたおたと。

どうやら浅草の定席から駆け付ける際に

浅草線から京急にはいる電車を間違えて

蒲田から羽田空港を回ってきた様子。

さすがに焦り(これが百栄との会ならともかく、と毒を吐きつつ)

高座に上がる15分前に横浜市内の最寄り駅につき、ダッシュをして

10分前に楽屋に駆け込んだとのこと。

小三治師匠との二人会に、それはやっぱり焦って心臓ばくばく、と。

クリスマスハロウィンの話とご両親とのクリスマスの思い出話から

すっと笠碁の世界に入り込む。

おや、一時期の談春さんみたい、と思いながら聞く。


中入り後、音曲柳家そのじさんが三味線であれこれと。

太鼓は一之輔さんとか。

クリスマスソング賛美歌がはいり師走ムードたっぷり。


さて、トリの小三治さんはうどん屋。

ちょうどBS落語解説をした番組で先代の小さん師匠

うどん屋を聞いた後だったので、ほほう、と興味深い。

こういうネタでトリをとるというのも大師匠の貫録かしらん。


とはいえ、二人会なのに1席ずつというのが

談春ファンからすると少し物足りなくて。

なんとはなしに、次の会を物色するこの頃。

ドクタースリープ

久々にキングの新作を読んだのは

この作品が、かの「シャイニング」の続編だと聞いたからに外ならず。


シャイニング=輝けるもの、そして特殊能力者。

いわゆる超能力ものなのだが、

むしろ見えてほしくないものが見えることからくる不安定さや、

特殊な力を持つが故の、そしてその扱いについての

ガイダンスをする人のいないことからくる不安定さ、

そんなものが物語にからまる通奏低音のようなもの。

ある時期が来て、かつて自分を導いた人がいたように

自分が導きをしなければならなくなった子供との出会い。

それによっても、自堕落な自己と決別する主人公の

物語でもある。


もちろん大衆的な人気作家としてのキングだけに

物語の完成度、スリルやエンタテイメントとしての

物語の強力な軸も存在し、それが真結族という名の

輝きをもつ子供の命気を吸い取って生きる、吸命鬼のような

一族の存在であるのだが。


シャイニングを読んだ時期を振り返りながら

それなりに自分の来し方を振り返る。


それほど特殊な能力はないにせよ。

あなたはいったいどうなの、とつぶやくように。

談志祭り 2015

談志さんの命日にあわせて

新真打のお披露目を兼ねてゆかりの読売ホールで。

1日半、3公演の興行であわせて5人の真打が巣立つ。


今回聞きに行ったのは、談春さんのトリ、初日の夜公演。

新真打は左談次さんのお弟子さん、談奈改め左平治さん。


キウイ:寿限無

談修:目黒のさんま

雲水:犬の目

左談次:天災

中入り

口上:雲水、談春、左談次、談之助、左平治

談之助:とんちき(禁制落語53のうちの1つ)

談春:三軒長屋


足を骨折してまだ痛そうな左談次さんを指し

左平治さんを真打にするにあたり相当骨を折った

と口上を述べた司会の雲水さんを、口々に「うまい」

といいながら、なんでそんな気の利いたことを言えるのに

高座ではあんな危ない話ばかり、などと突っ込みがはいる。


この先はいばらの道ですが、1本道が伸びています

などと褒めているのかけなしているのかさっぱりわからない

それぞれの口上のあと、3本締めで門出を祝う。


これからいくつかのホールをまわり

披露興行を自分で打つのだが(プロモーターを頼む金がないとかで)

2千名を動員しなければならない、などと左平治さん。

これが落語協会落語芸術協会なら、お金はかかるものの

舞台は席亭が用意してくれる。

システムにのっかれば披露興行の舞台はお膳立てされているし

プロモーターは最初からセットのようなもの。

が、立川流はまずはそれすら自分で切り開け、ということか。

確かにいばらの道ともいえるが、どのみち

自主興行で席を売らなければ、先があるわけでもない。


いやいや。

売れっ子の先輩がゲストで出てくれることもあるのだろうが

それにばかり頼っていても先がないだろう。

小さな会でファンを増やし、地道に精進しなければ、ということか。

読売ホールの、多くの談志ファンの前で一席できるわけでもなく。

同じ落語家になるにしてもサラリーマンとベンチャー企業くらいの差。

そう思うと、厳しいなあ、と。


談春さんの三軒長屋は熱演ながら時間も足りず

体力も切れたのか、途中であっさり落としてしまう。

好きな話だけれど残念なこと。


どこかでまた聞けるかしらんと、そんなことを思いつつ。

有楽町の夜はふける。

猿之助さん スーパー歌舞伎 ワンピース

猿之助さんのスーパー歌舞伎

さすがに際物だなあ、と思いつつ見に行ったが

これがなかなか。

エンタメの王道とは、とかお金をかけてがっつりやる

というショーアップのやり方について

ずいぶんと感じるところがある。


多くの人(数万人単位)のひとを集めるには

やはりこういった、あらゆる仕掛けを思い切って仕込み

決してつまらなかったといわせない、という気迫と

万全の準備をした後は、批判があってもやりぬく気概が

必要なのだろう。


まだ若い当代を支える一門の熱気もすごい。

エンタメは、生半可なことではやれないと、ただ脱帽。

 

振り返って、少々アドバイスしたい人が。

膨大な長編の一部を取り上げる際の

あらすじの伝え方にもセンスがある、ということ。

届くといいけどね、このアドバイス。